ペット(犬)を連れてUSに行くための準備(2021年1月)
[2021年3月追記: 無事渡航できました。]
はじめに
我が家には6歳になるゴールデンレトリバーがいる。渡米するにあたって犬を連れて行くというのは必須条件の一つで、必要な手続き等についていろいろ調べた。 調べた上で役に立つのはまずは日本の検疫所とアメリカの関係各所のHPなのだが、実際にどういう流れになるのかいまいち解りづらい。
実際の流れを想像するには個人ブログの体験談が役に立つ、ということでこれを書こうと思った。
2021年1月現在まだプロセスは進行中なので、また他のことが解るにつれて追記していこうと思う。 (もちろん全てが正しい情報とは限らないのでその点には注意してもらいたい。)
犬の状態について
参考になるように前提となる状況について記しておく。
渡航先は米国ワシントン州で、犬は6歳のゴールデンレトリバー、日本生まれで国外に出たことはない。
マイクロチップ注入済み、狂犬病ワクチン、混合ワクチン、フィラリアの飲み薬は毎年与えている。
渡航方法について
サイズが大きい犬なので、人間と一緒に旅客便の預け入れ手荷物とするか、貨物として送るかの二通りがある。
今回は犬への影響も考えて直行便のことしか考えていない。(想像したくもないのだがロストバゲッジの可能性が上がるし、時間も長くなる)
現在コロナの影響で東京-シアトル間の直行便はデルタ航空しか運航しておらず、かつデルタは旅客便へのペットの受け入れをしていないため、 デルタ航空の場合は貨物の利用が必須になる。
結論としては貨物としての輸送は見送った。理由として:
- 預け入れ手荷物の際と比較して大きいサイズのクレートが必要
預け入れの場合はバリケンXL(500サイズ,長辺が100cmぐらい)で大丈夫だが、貨物の場合は700サイズ(長辺が120cmぐらい)になるとのこと。貨物の方が制限が厳しく、小さすぎる場合は国によっては罰金が科される場合もあるらしい。 - 引き取りに時間が掛かる。仮に同じ便だったとしても、人が降りてから数時間はかかるとのこと。
詳しい見積もりはお願いしなかったものの、貨物の場合のみ必要な書類もありその分コストもかかる模様。 輸出してくれる会社はIPATAのウェブサイトから探すことができる。今回はBURDENさんに相談したが、とても親切に対応してもらった。
手続きについて
手続きの内容は日本に帰ってくる可能性がある(旅行等の場合はこちら)かないかによって変わってくる。 アメリカ(除ハワイ)は狂犬病清浄国ではないので、ワクチンを打ち続けていること、抗体価が基準以上であることの証明が必要。 大まかな手続きの流れは以下の図を参照。色付きがアクション、白色は書類。
帰国する予定がない場合はHでもらえる輸出検疫証明書に書いてある事項が連邦、州両方の条件をクリアしていれば問題ない。
A, B: 狂犬病予防接種
1年に1回打っているはずなのでAは全員がクリアしているはず。日本で用いられているワクチンは有効期限が1年のもの*1なので、前回と前々回の間が1年以上開いていないか確認して、開いている場合は再度接種する必要がある。
C: 抗体価検査
狂犬病の抗体価検査は日本では生物化学安全研究所しかやっていないらしい。採取した血液を獣医さんに送ってもらう。 この採血は2回目のワクチンと同日でも可*2。
このとき、検査料を振り込んだ証明になるものと、狂犬病抗体検査申請書兼証明書(ここにある)を印刷、記入して一緒に送ってもらう。
2週間ほどで申請書に結果が書き込まれて自宅に返送されてくる。
採血日から2年間有効で、また採血から180日は日本への入国ができない(採血以前の感染に対する潜伏期間のため)。このため、短期旅行をするような場合にはこの6か月を日本で過ごしておく必要がある*3。
D, E, F: 混合ワクチン、フィラリア、健康診断
混合ワクチンとフィラリアについてはやっている人が多いと思うので割愛、健康診断はここにサンプルがある。
"できるだけ出発10日以内に発行してください"とのこと。
健康診断書は特に英語である必要はないはずなのだが、JALのチェックイン時に英語で書かれたものはありませんか?と数回訊かれた上にグラウンドスタッフがそれを確認するのにやたら時間がかかった。事前に航空会社に確認するか、英語で書いてもらってもいいかもしれない。(なお到着後は全く必要とされなかった)
G: 輸出検疫申請
ネットからNACCS経由でできる。 その後メールで書類をスキャンしたものを送って確認してもらう。当日は送った書類の原本がすべて必要。
H: 輸出検疫
出発時に空港で行う。ここで集めた健康診断書や抗体検査証明書の内容を輸出検疫証明書に転記してもらう。
ここで転記された内容が入国の条件を満たしていることを確認する。今回の場合は:
- CBP: https://help.cbp.gov/s/article/Article-3695?language=en_US
- CDC: https://www.cdc.gov/importation/bringing-an-animal-into-the-united-states/dogs.html
- USDA APHIS: https://www.aphis.usda.gov/aphis/pet-travel/bring-pet-into-the-united-states/pet-travel-dogs-into-us
- WA州: https://apps.leg.wa.gov/WAC/default.aspx?cite=16-54-170
辺りを参照した。結論としてはWAの規定で狂犬病ワクチンが求められるだけのように見えるが、フィラリア、混合ワクチンについても言及はあるので接種、投与しているなら書いておいた方がよさそうである。 ここでもらえる書類(原本と控えの2枚、どちらもエンボス加工されている)は帰国する際に必要になるので必ず1枚は持っておく。入国時に1枚提出する必要がある場合もあるようだが、今回は到着空港で見せるだけで済んだ。
I: 輸入事前届け出
ここからは帰国に向けた準備になる。輸出時の検疫申請と同様に輸入事前届出が渡航の40日以上前に申請されている必要がある。短期渡航の場合は特に注意が必要、また急な事情で帰国する際も犬を連れるなら40日はかかるということ。手続き自体はNACCSからできる。
J:アメリカでの健康診断
日本から出るときと同様健康診断が必要、またこれは誰でも良いわけではなく、USDA accredit vetという資格を持っている獣医でないといけないらしい。ここから探せる(が、よくつながらない気がする)。 記入フォームは決まっていて、Form ACを使う。昔はAとCが別の紙だったらしい、今でもそちらの形式でもいい模様。
また、出国時に取った抗体検査証明書が切れている場合再度の検査が必要になる。これの採血の間までに1日たりとも狂犬病ワクチンを切らしてはならない。切らした場合は180日の待機時間が再度発生する*4。 これに関してはこの図が解りやすい。
検査できる場所はUS内に1か所しかないらしいのでそれなりに時間がかかるものと思われる。また、これらの処置の際にもらう証明書にマイクロチップ番号を記載してもらうのを忘れないようにする。
K:USDAで裏書(endorsement)をもらう
Jでもらった健康診断書にお墨付きをもらわないといけない。予約が必要で、健康診断がフライトの1週間程度前でないといけないことを考えるとここのスケジューリングが難しそう。
どこでもできるわけではないので住んでる場所によっては辛そうである。WA州はオリンピアにある。ID、費用、NACCSでの届出受理書、記入済みForm AC、その他ワクチン接種証明や検査証明を持っていくとよい。
L:輸入検査
日本に入国する際の検査。書類が揃っていればすぐ終わる模様。
航空券の手配
ANAもJALもネットで人間の分だけ予約→電話してペットの預け入れ予約という手順で問題なさそう。その場で予約が取れるかどうかは解らず、後日回答になる。
ペット用のスペースは限られているので予約は早めにとのこと。また路線や機材によってももちろん変わるようだ。
到着後
Baggage claimの所で係員に犬を連れてきた旨を伝えると、まずはCDCに輸出許可証をチェックしてもらわないといけないと言われる。係員に連れられてCDCの分室にいって輸出検疫証明書を見せ、税関申告書にチェックを入れてもらう。その後税関を通り、その先で空港と航空会社の係員の人がケージを持ってきてくれたので受け取り。
おわりに
何しろ渡航前から帰国のことを考えないといけないので非常に想像がしづらい。
他のブログを見るに疑問点があったら検疫所に問い合わせればいろいろ教えてもらえるようなので、何か困ったらまずはそこを頼ろうと思う。 とりあえず無事に犬と渡航できるといいなぁ。