Isa@Diary

ソフトウェア開発やってます。プログラミングとか、US生活とかについて書きます。

USで家を買う(前編)

はじめに

家を買いました。 アメリカで家を買う手続きに関しては検索すればそれこそ無数に先人のブログやらが見つかるのですが、 多すぎてダメということもないと思うので自分の経験もそこに足しておこうと思って書きます。

とりあえず今回は予算の決め方と家を絞り込んでいく方法について。
この記事の情報は2021年後半のシアトル、イーストサイド(Bellevue, Kirkland, Redmond辺り)の情報です。

家を買おうと思ったきっかけ

2021年3月にUSに転居して、4月に会社が手配してくれた家から出て自分で家を借りていました。
その時は漠然と「まぁ2年ぐらいは賃貸に住むかな~、ただ金利は低いし家の価格は上がるし買えるようになったらすぐ買いたいな~」と考えていました。

すぐに買おうとならなかった主な理由としては

  • そもそも不動産購入の手続きや相場観について何も知らないのでその時間が必要だから
  • クレジットヒストリーが十分貯まっていないから
  • 単純に移住直後でそれどころではなかった

などがありました。

家を借りた後は、大体の相場観を身に着けるためにZillow等の不動産サイトを眺める日々を過ごしていました。

8月になってUSに来て数年の同僚の家に遊びに行った際にその人が移住して半年で家を買ったという話になり、その中で会社の転籍ベネフィットでクレジットヒストリーが足りないのはカバーしてもらえる(スコアがあるものとして扱ってくれる)ということを知りました。
それであとはいろいろ調べれば買えると思って本格的に探し始め、10月ぐらいからオファーを出し、11月にaccept、12月にcloseというタイムラインでした。

不動産サイト

Redfinがおすすめです。地図上に手書きでエリアを指定する機能がないのだけ難点。
Redfinとエージェントの会社が使っているWebサイトを併用していましたが、ほとんどの情報は同じです。

家を見てみる

まずはどの辺りに、どのくらいの家の広さが欲しくてそれは現実的に買えるのかどうか、というところを見始めました。

探し始める段階では

  • 場所: ある程度地名を知っていたり知人が住んでいるBellevue, Redmond, Kirkland辺り
  • 広さ: 借りている家が1750sqftのタウンハウス(3階建て)なので平屋なら1750sqftで十分、将来的には子供部屋が2つ欲しい
  • 予算:わかりません

ぐらいのイメージでいました。

予算

いくつかの方法があるのでこれを総合して大体このくらい、というのを決めます。
ここで注意したいのは、不動産サイトの検索でactiveな家についている額はlisting priceで、実際に取引される額とは異なるという点です。 実際の値段は買主が「これだけ出すよ」というオファーを売主が受けるかどうかで決まるので、listing priceよりも高い可能性も低い可能性もあります。

自分が見ていたエリアでは現在は家の在庫が少なく、大体listing priceから+20-30%程度は余裕を見ておいた方がいいよ、と言われていました。 どちらの価格情報も公開情報で、不動産サイトに記載されています。

DTI、月の支払額から決める

Debt-To-Income(DTI)は(ローン返済額 + 固定資産税 + 保険) / (税引き前収入)で、43%以下に抑えるのがよいと言われています。 (個人的には43%は高すぎる気がしています) あとは適当なローンシミュレータで支払額が上限になるところを探せばよいと思います。

頭金の額から決める

今現在手元にあって使える資産額から計算する方法もあります。一般的には頭金(down payment)は20%で、購入手続きに掛かる手数料は購入額の1%程度なので 用意できる額の凡そ5倍弱程度が購入できる額の上限になります。

場所、広さ

予算が大体決まったらあとは場所と広さ(含む部屋数)との兼ね合いでエリアを絞ったり、予算の方を調整していきます。 外れ値はあるものの大体エリアごと(中学校、高校の学区ごとぐらいの粒度)に直近で売れた家を見ることで$/sqftがどのレンジかが解るので、そこから広さ/場所/予算をいい感じに調整して大体のこのくらい、という感覚を身に付けました。

学区

学区に関してはGreatschools、NicheやSchool Diggerといったサイトがあります。初めのうちは進学先や数字を結構気にしていたのですが、それより個別の事情の方が大きく影響することもあり最終的にはそこまで重要視してはいませんでした。 個人的には学校レベルではなく、学区レベルで全体の傾向をある程度掴めば良さそうに思います。詳細はこのツイートのスレッドを参照のこと。

オープンハウスに行こう

これと並行して気になるエリアはちょっと車で運転して雰囲気を見たり、クライムマップや洪水マップを見てどの辺りがどういうところなのか見ていきます。

また、オープンハウスは予約する必要はなく、告知されている日時に行けば買う気がなくても見られるので積極的に行ってみて自分にとって何が重要かを見つけておくのが良いと思います。(自分は購入までに10-20件ぐらい見たと思います) 初めの1件はちょっと緊張しつつ行ったのですが、本当に勝手に中に入って見て回って出てこられたので拍子抜けしました。

エージェント

エージェントは必須だと思っておいた方が良いです。
また、人によって何をしてくれるかは全く異なるようなので(書類手続きをやってくれるだけだったり、物件を探すのを手伝ってくれたり)、可能であれば(価値観の合いそうな)知人や同僚から紹介してもらうのが良いと思います。

買い手側のエージェントの手数料も不動産の価格に含まれているので、エージェントとしては高いものを売った方が実入りはよいはずです。その点でも信用できる人を探すのが大事だと思います。

物件を見つけてから購入までの大まかな流れ

不動産サイトやオープンハウスで良さそうな家を見つけたら、エージェントにそれを伝えてより詳しい家の情報がないか探してもらいます。 売り手側がオープンハウス後にpreinspection report(家の診断書)やseller's disclosureをくれる、というケースが多くありました(この習慣は州によって異なるらしいです)。

preinspection reportやseller's disclosureを見る

Preinspection reportは家の診断をやっている業者が出しているレポートで、家のメンテナンス(基礎、壁、屋根、キッチン、電気 etc.)が必要なところが書いてあります。 大きいものから細かいものまで項目が多くあり、どれが重要でどれはあまり重要でないのか自分では判断がつかないため、初めはこれを読むのにとても時間がかかります。

自分の場合はエージェントが大まかに重大な欠陥か、そこまでではないが直した方が良いのか、自分で直せるor直さなくても問題はない、程度のことは教えてもらえましたが、基礎、床下、屋根、屋根裏、配管、電気等は用語も解らないですし直せるものなのか、いくらぐらいかかるのか、そもそも一般的なUSの家に関する知識が足りない等で苦労しました。
2-3件のレポートを読むとある程度同じことが書いてあったりするので、新出のものだけ追えばよくなるので大分楽です。この点で本命の家をひたすら待つよりはいくつかの家で練習しておくのがよいと思います。

このレポートがない、あるけど古い、追加の検査(e.g. 下水管の検査)をしたい、業者が信用できない(あくまで売り手の出している情報なので)などの場合は購入の意思表示をする前に自己負担でinspectionを入れたいと売主に伝えることができます。 現状だとスケジュール的にかなり難しく(それを入れる日がない、入れている間に売れてしまう等)、かつ1回につき数百ドル程度かかるのでpreinspection reportのない家は基本的に候補から外していました。

Seller's disclosureは売主の知りうる範囲で境界問題があったか、水漏れをしたことがあるか、等の決まった質問リストに回答したものが貰えます(恐らくWA州のもの)。ただし、"解らない"という選択肢もあるのでその点は注意が必要です。

オファー戦略を練る

ここまで来て、この家を買ってもいいなと思ったら入札の戦略をエージェントと考えます。パラメタとしては

  • 金額

    • いくらで入札するか、もし他にもっと出せる人がいたら上限をXドルとしてその人よりYドル多く出します(escalation clause)のような条件付けが可能です
  • 有効期限

    • 売り手は"この日にすべてのオファーをレビューして誰に売るか決めるよ"という日を設定しています。ただこれは絶対ではないので、買い手側は当日限り有効なオファーを出して即決を迫る、というような交渉も可能です。
  • earnest money(手付金のようなもの)の額

    • 物件価格の3-5%程度で、最終的には頭金の一部になります。手付金なので一般には契約成立までは相手には渡らないのですが、これをすぐ相手に渡す(=何らかの理由で契約が成立しなくても返ってこない)ということも可能です。
  • contingency(キャンセル条項)を入れるかどうか

    • inspection contingency : 家の検査をして、その結果キャンセルできる
    • financial contingency : もしローンが降りなかったらキャンセルできる
    • appraisal contingency : もし家の評価額が購入希望額以下だったらキャンセルできる
    • 等がありますが、2021年現在は全て入れないのが標準になっています…(買い手にとってはかなりリスキーだと思うんですが、売り手市場なので仕方がないですね…)

オファーを出す

オファーレターに書く条件が決まったらあとはそれにサインをして、相手エージェントに送ってもらいます。大体当日中か翌日には結果が解ります。 このときエージェントによっては負けた場合でも勝ったオファーはいくらぐらいだったのか、どんな条件だったのかを聞き出して教えてくれます。

一週間のスケジュール

物件は水曜~木曜日に出ることが多いので、

  • 水-金: 不動産サイトで目星をつける
  • 土日: オープンハウスに行く、どこにオファーを出すか決める
  • 月火: オファーを出す、結果を受け取る

というサイクルをオファーがacceptされるまで繰り返すことになります。週末の時間が消えるのも精神的にも結構大変でした。

後編へつづく。後編はオファーがacceptされてからの話と雑多な感想の予定。